MOXUの百鬼夜行・其之弐

其之弐ということで。

栄螺鬼

これが俺の栄螺鬼だッ!!って感じですよ。

サザエのつぼ焼き食べたくなったでしょ?

土蜘蛛

絵巻物によく出てくるVer.ですね。

 

一本だたら

 熊野地方に伝わる、一つ目、一本足の妖怪。12月20日のみ現れるとされる。雪の上を飛び跳ねて足跡をつけていく、と。

 猪笹王という大イノシシの亡霊、という形でも伝わっている。

 伝承には「皿の様な目」とあるので、素直に描いたらなんと可愛いおめめ(笑)あまりこれまでにないような表情を描きたかったので、プクっと膨れてみました(というかその形の唇が描きたかった)。デザインのモチーフはこれと言ってないのですが、「山のキノコや山菜」みたいなイメージです。

雪ん子って可愛いですよね(*^o^*)

見越し入道

 夜道を歩いていると現れ、見上げれば見上げるほど大きくなる、という妖怪。四つ辻や、木の上、石の上なんかにも現れるそうな。その正体は変化する動物の類とかなんとか。「見越した!」と言えば消えるそうです。

 逆光の中でグムグムデカくなる様子が怖いかなぁ、ということでこんな構図です。

 ところで「入道」って何の事かと調べたら、「坊主頭の人を馬鹿にした呼称」だそうです。へえ~

朧車

 平安時代、牛車の場所取り争いによる怨念から生まれた妖怪。個人的にカッコいいなぁと思う妖怪です。劇場版のゲゲゲの鬼太郎に出てきたのがメチャ印象に残っています。

 

 ということでデザインは「恨みの集合体」みたいな要素を入れてみました。もう一つのミソはやはり骨だけ牛ですかね。平安時代の生活様式が細かく載ってる資料があんまりなくて、背景の様子とか実は結構苦戦しました。

 

 

磯女

 海の妖怪シリーズです。伝承をまとめると、まぁとにかく海に現れる女性の姿をしたすんげぇ怖い妖怪だと。姿形は、龍とか蛇とか、蟹とか、岩とか、幽霊みたいだとか、とにかくバラバラです。

 

 姿形の自由度が高いので、深海魚のフウセンウナギをモチーフにしました。やっぱり生物っぽいのを描くのは楽しいですし、サバを描いた時点で釣りに行きたくてしょうがなくなりました、と。

天井下がり

 天井からぶら下がって人を驚かせる妖怪。人を襲って食べる、というような話もある。古来より天井裏は異界と繋がっているという考え方があったそうな。

 

 天井にあるシミ→カビ→粘菌という発想で描きました。自分で言うのも何ですが、気持ち悪いですね(笑)菌類がモチーフなので、あまり躍動的になり過ぎないように、すこし植物的な雰囲気になるように気を付けました。

わいら

 わいらは「畏畾(わいらい)」に由来していて、おとろしの「恐ろし」と同じく恐怖の象徴なんだとか。地中のモグラを掘り起こして食べるとも言われています。

 地中棲ということで、前進にイボイボ(ハナモグラのように地中でのセンサーの役割)をつけて、目は悪そうに、鼻は潰れた感じでデザインしました。また、ガマの変化という伝承もあるので、耳の部分はヒキガエルの特徴である耳腺を。

 江戸時代の日本画家、曽我蕭白がマイブームなので、背景の描写はモロに参考にさせてもらいました^_^;

 画中の女の子は、花魁の見習い兼世話係「禿」です。

崇徳院

 非業の最期を遂げた第75代天皇。生きながらにして天狗道に堕ち「大魔縁」になったとされ、様々な怨霊伝説が伝わっている。後世には四国全体の守り神であるとの伝説が現れている。

 意外と妖怪画の崇徳院は描かれていないんですね~

 「大魔録」、「三障四魔(煩悩障、業障、報障、陰魔、煩悩魔、死魔、天子魔)」にちなんだ文字をあしらっています。当初は稲光の中の崇徳院、という構想でしたが、最終的にはガラスのひび割れの表現に行き着きました。全体的にカッコよく描けたとお気に入りです(^◇^)

 

髪切り

 屋根裏に潜み、髪の毛を密かに切ってしまうとされている妖怪。獣や幽霊と結婚しようとすると現れる、とも。魅入られると病気になったり死ぬこともあるんだとか。明治以降、ザンギリ頭の流行とともに恐れられることもなくなっていったらしい。

 これは人型のほうが有名ですが、空想上の虫だという解釈もあり、今回はそちらの方を描きました。イメージはヘビトンボ×カミキリ。でもえらくカマキリチックになりました。虫はなかなか表情を出すのが難しいですね…(@_@;)鋏の刃の合わさる向きにこだわっています。

鉄鼠

 平安時代の僧、頼豪が延暦寺への恨みから鉄鼠に変化した、という伝承から。

 デザインのモチーフはズバリ「ドブネズミ」。特に悪い意味はなくて、不気味さ、凶暴性みたいなものを表現するには一番かな、と思ったので。そもそも正式名称「ドブネズミ」ってなんかヒドイ^_^;

 いつもそうですが、絵からの逆引きができるように、時代考証や小物関係は神経を使って資料をその都度調べ直しています。やっぱり妖怪は当時の人の生活に密着している存在だと思うので、ある意味妖怪のデザインより気を使っているかも。そういう部分が表現の中のリアリティにつながると思うんですよね。